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1999年

 

Atsushi Kadowaki 2001

 

2.21

 私はここで生まれた
 ここは私の生まれた土地
 こkは私のよく知った土地
 長い間私はそれを忘れ
 思い返すこともなかった
 

2.23

 しかしそれは自由の代償なのだ。

 

3.1

 ふきのとうをひとつ見つけた
 そのそばにもうひとつ
 みどりの小さな顔を見せて
 まだ早い春の色をして

 私はそれに手をのばして
 土の中からむしりとった
 もうひとつ
 またひとつ

 その瞬間
 それまでのすべては霧散してしまう
 枯れた何もない丘と一体であった私の存在は
 あとかたもなく散逸してしまう
 丘はすでに収奪の場所となって
 私はまた新しいふきのとうを見つけようと
 そのことばかりに心をくだく
 私の目から丘は消え
 そのすべてが失われる

 

3.2

 枯れた丘を歩く、という考えは私をぞくぞくさせる。見わたすかぎりの丘陵地をくまなく歩き、いろいろなところから丘を見ようという考えは、私をわくわくさせる。丘は実に変化に富んだ造形物だ。遠くから見るのとは断然違う。足がうずうずする。端の方からすべてをくまなく歩きつくしたいという欲求にかられる。私は丘マニアなのだ。

 

3.?

 桜散るなら惜しげなく
 川流れること絶え間なし
 山そびえ立ち堂々と
 都栄えて幾千年

 

 予期しないものに
 ひとは不快をおぼえるものだから

 

 

7.2

 雨は、私の奥底へと降りそそいでいくようだ

 

 言葉にすればするほどに厚く白くにごってゆく

 

11.10

 秋も深まってくると、日が低くから差し、昼を過ぎたばかりだというのにもう夕暮れ時の風情である。遠くのなだらかな山々も色づいて、いつもとは違った影なども刻み込まれて、実にやさしげな顔立ちに見える。

 

11.17

 うつろいのもみじ身に受くかえでかな
  端から赤、黄、緑と、うつろいゆくもみじ葉を身につけて、それが実に美しい。

 

 あれこれとわが身助くとせんとても身を捨つるなばそこに至らむ
 いろいろなことをして自分というものを高めていこうと、あせったり悩んだりしても、それは思えばつまらぬことなのかもしれない。

 川石に枯れ葉のかかるひとときはこの人の世のごときものかな
 川の流れの中に、枯れ葉がひっかかっている。思えば人の世というのは、このようなものなのかもしれない。たまたま偶然に石にひっかかって、ひとときそこに身をよせたようなもので、やがてはたえることのない流れに押し流されてゆくのだ。

 捨ておかばすなわちそこに至るらむ

 

12.4

 この
 一日を終わらせてゆくという空虚な努力の中にあっては
 新しいものに素直な喜びを感じ
 好奇の目でもってそれに対することの尊さを気づかされる

 

あひるの書斎

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