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Atsushi Kadowaki 2001

 

靴屋のこびと

 

 私は童話の中ではこの話がとても好きだ。靴屋のおじいさんが寝ている間に、こびとたちが靴を仕上げてくれる、という話だ。
 いつも私は、自分が空気のような存在であったらと思う。だれにも気づかれず、まるでそこにいないかのようである。そしてだれのしわざなのかわからないような親切をする。 そんな、靴屋のこびとのような存在でありたいと思う。
 しかしこの童話のポイントは、ここに出てくるこびとたちのように、ひとに気づかれずに親切をすることの大切さにあるわけではなく、こびとたちの親切に驚き、それがだれのしわざなのかを調べ、きちんとそれにこたえようとするおじいさんの律儀さにあるように思う。
 ものごとがとてもうまく進むとき、それは実は自分の力によるものではなく、見えないだれかの親切によるものであることが、案外多いのではないだろうか。そしてそれが自分の実力によるものではなく、だれの助力によるものなのかをつきとめ、それにできうる限りの力で
こたえんとすることこそ、大切なことではないだろうか。
  童話の中でおじいさんは、おばあさんとともにこびとたちのために新しい洋服を用意し、こびとたちがしてくれたように、そっとそれを置いておいた。それを見つけたときのこびとたちの気持ちはいかほどだったであろう。
 ひとは自分のことを評価してくれるひとのためには命までも投げ出すものだ。正しく相手のしたことを理解し、評価できること。そうしたよき理解者がいること。そうしたことが、生きていることに、それ以上の意味をつけ加えることなのだと思う。

Atsushi Kadowaki 2001.3.16  

 

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